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学会長挨拶

第14回日本教育保健学会・仙台を開催するにあたって

           

第14回年次学会長

千葉保夫(宮城教育大学)

 

  第14回日本教育保健学会の年次学会を仙台で開催することになり、これまでにご支援とご協力をいただきましたすべての皆様に厚く御礼を申し上げます。同時に多くの皆様のご参加を心からお待ちしております。

 今回の仙台での年次学会は、東日本大震災の翌年に開催された第9回年次学会から5年、大震災から6年になります。復興は道半ばで、ガレキ等は消えましたが、津波被災地は山野と化しています。また、学校だけでなく日常生活の中で生きづらい状況は、被災した子どもたちだけでなく、被災に関係ない子どもたちにも拡散し、増幅してきています。いじめ、不登校、自殺等その姿は潜在化し、増々見えにくくなってきています。

 こうした状況で、学校の教職員、教育の研究者、乳幼児施設の保育職員、介護施設の職員、医師、病院関係者等の多様な職種の方々が一堂に集い学び、子どもたちの生きづらさの背景・課題を共有しながら、支援の在り方やその手立て、実践方向を共有する学会にしたいと願い、二つのシンポジウムと特別講演、教育保健学講座、一般研究口演、課題別セッション、等を準備してきました。

 テーマは、「教育保健研究・実践の進展をめざして」とし、シンポⅠでは「子どもの発達困難の現状と背景-その発達支援の課題をめぐって」、シンポⅡでは「教育保健の課題-ケアと教育の統合的な支援をめざす取り組み」の二つです。教育保健講座では「教育保健学・研究のこれまでとこれから」を、特別講演では「現代社会をめぐる若者の性の動向~医療現場から見た考察」と、それぞれの現場で活躍している方々に報告・提言をお願いし、盛りだくさんの内容を予定しています。

 今、子どもたちの生活と教育は、過大な競争と貧困格差の拡大、グローバル化の妄想と学力主義の強化の中で混迷状況にあります。共に学びあい、共に生きる子どもたちの学校は、一人ひとりの子どもたちのケア(保護・受容)と発達支援(教育)を保障する学習環境づくりが最優先課題になっています。学校の教職員は、一人ひとりの子どもの生きづらさに寄り添う発達支援(教育)の環境づくりとそのプログラムを早急に構築しなければなりません。そのことを共有し提起することが、今、学会に求められている緊急の課題です。学校教職員、保護者、研究者、地域の人々、すべての大人たちが携えて、すべての子どもたちに寄り添い、一度立ち止まって諸課題を分析し、そのあり方・対策、そしてSOSを発信している子どもたちへの共通理解と支援のアクションが求められています。

 東北の玄関・仙台には、牡蠣、ほや、雲丹、海鮮寿司、牛タン、ズンダ、おはぎ、マーボーやきそば、寒さらしそば、せり鍋等、仙台ならではの海の幸、山の幸が多数あります。これらをご賞味いただきながら議論を深めていただけるものと願っています。学会参加後は、スキー、スノーボード、樹氷、雪見、露天温泉、被災地の語り部視察等の東北の豊かな自然探訪と視察研修等も可能です。多数の同僚・仲間に声をかけていただき、仙台での年次学会が有意義な会になりますように皆様の積極的なご参加をお願いする次第です。

皆様のご参加を心待ちしています。

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