学会内容およびプログラム
日 時 平成29年3月25日(土)・26日(日)
会 場 東北福祉大学ステーションキャンパス(仙台駅よりJR仙山線約15分・東北福祉大前下車・徒歩1分)
主 催 日本教育保健学会(理事長 東北福祉大学・数見隆生)
協 賛 みやぎ教育文化研究センター
後 援 宮城県教育委員会、仙台市教育委員会
実行委員長 千葉 保夫(宮城教育大学講師、元仙台市小学校教諭)
参加費 会員・当日会員4,000円、学校教員・一般2,000円、学生・大学院生(現職なし)1,000円
広報交換会費 3,000円(学生1,000円) *事前申し込みをしなくても当日の参加申し込みで参加できます。
大会事務局 〒981-8585 宮城県仙台市泉区虹の丘1-18-2 東北生活文化大学短期大学部
TEL:022-346-1294 Mail:14kyoikuhoken@mishima.ac.jp
≪プログラム≫
第1日目 3月25日(土)
9:00~ 9:30 受付
9:30~ 9:40 開会式(理事長・実行委員長・来賓挨拶)
9:40~12:00 シンポジウムⅠ「子どもの発達困難の現状と背景~その発達支援の課題をめぐって」
コーディネータ 千葉 保夫(宮城教育大学)・山岸 利次(宮城大学)
シンポジスト 宗形 初枝(郡山市医療介護病院・看護部長)
丹野 広子(仙台市乳銀杏保育園・園長)
高橋 芳子(仙台市立国見小学校・養護教諭)
いじめや不登校といった極端な形で現れることはなくても、子ども達の抱える生きづらさや困難というものは、それまでの子ども自身の生育史のなかで蓄積されてきたものの結果でもあるということは改めて確認されるべきことです。成長過程における発達課題の積み残しや放置、子どもの権利条約の理念であるところの「受容的・応答的人間関係」の構築・保障の不備といったような様々な要因の積み重ねが、今・この瞬間の生きづらさや困難さという形で子どもたちに降りかかっています。こうした問題関心のもと、本シンポジウムは学齢期のみならずそれに先行する乳幼児期という発達段階にも視点を据え、それぞれの問題状況を検討し、求められる発達支援を明らかにしようとするものです。
12:30~13:00 総会
13:00~16:00 シンポジウムⅡ「教育保健の課題~ケアと教育の統合的支援を目指す取り組み」
~東日本大震災を乗り越える児童生徒の心の支援実践をめぐって」
コーディネータ 数見 隆生(東北福祉大学)・富山 芙美子(帝京短期大学)
シンポジスト 近藤 裕美(東松島市立宮野森小学校・養護教諭)
濱田 純子(東松島市立鳴瀬未来中学校・養護教諭)
制野 俊弘(和光大学、元東松島市立鳴瀬未来中学校・教諭)
本間 博彰(前宮城県子ども総合センター・所長、精神科医)
現代の学校は様々な子どもの心身の課題を抱えていますが、本シンポジウムでは、東日本大震災で被災した地域の学校における「子どものケア(保護・受容)と教育(発達支援)に関する実践報告」と「子どもの現状に学校はどう向き合うか」の提案をもとに議論を深められればと思います。当日のシンポジウムには、被災地域で教員をされている方(されていた方も含め)、被災当時小学生や中学生であった方も参加される予定です。
16:10~17:30 教育保健講座「教育保健学・研究のこれまでとこれから」(プロジェクト共同研究中間報告)
司 会 宍戸 洲美(研究部長・帝京短大)・数見隆生(プロジェクト代表)
理論研究グループ代表 近藤 真庸(岐阜大学)
実践研究グループ代表 藤田 和也(一橋大学名誉教授)
実証研究グループ代表 三浦 正行(立命館大学名誉教授)
18:00~20:30 情報交換懇親会(学会編『教師のための教育保健学』東山書房の出版記念を兼ねる)
(東北福祉大学ステーションキャンパス8F)
第2日目 3月26日(日)
9:30~12:00 一般演題発表 5会場・25演題(演題名・発表代表者・所属)
第1会場(402教室)
1
養護教諭教育課程における看護学臨床実習の学びと課題
飯嶋 亮子 (東北福祉大学)
2
養護教諭養成におけるPCAGIP法の活用と効果
内藤 裕子 (東北福祉大学)
3
養護教諭養成課程の学生における実践型教育プログラムの開発 -地域連携授業の取り組みを通して-
橋口 文香 (九州女子短期大学)
4
教育実習で遭遇した倫理的課題—教職実践演習での「教職の倫理」の取り組みを通して-
三森 寧子 (聖路加国際大学大学院)
5
「開かれた保健室」における養護教諭の実践 -中学校に焦点をあてて-
竹村 乃愛 (聖路加国際大学)
第2会場(601教室)
1
アパシー概念の変遷と現代の無気力像に関する社会文化的研究
山川 希望 (茨城大学大学院)
2
慢性疾患の子どもを支える養護教諭の教育実践-ICFを活用した合意的配慮の検討-
新開 奏恵 (山口県立大学大学院)
3
夏季における高校球児の飲料水に関する調査
-高校野球部員の熱中症予防対策-
川俣 幸一 (東北生活文化大学)
4
浦和学院高校野球部とそれ以外の男子生徒を比較した血圧・脈拍・身長・体重の分析
-2016年度健康診断の結果に基づいて-
上村 春彦 (浦和学院高等学校)
5
高校生の生活習慣及びストレスが自律神経機能に及ぼす影響について
村松 みずほ (東海大学大学院)
第3会場(602教室)
1
HECAT2012(米国保健教育カリキュラム分析ツール)の分析と学習指導要領
-モジュール「健康的な食事(HE)」と「身体活動(PA)」について-
面澤 和子 (弘前大学名誉教授)
2
健康教育における養護教諭の思考過程に関する研究
-小・中学校養護教諭へのインタビュー調査の分析を通して-
山上 恵美 (上越教育大学大学院)
3
生活と科学を結ぶ保健授業の再検討-「睡眠」を題材にしたからだの学習を通して-
鎌田 克信 (石巻市立貞山小学校)
4
不登校児童を学校と地域で支えた事例の検討
鴫原 成美 (東北福祉大学)
5
私立学校におけるインクルーシブ教育と養護教諭の関わり
若杉 雅代 (東海大学付属仰星高等学校)
第4会場(600教室)
1
中学生の健康情報に関する批判的思考についての検討
森 慶恵 (愛知教育大学附属名古屋中学校)
2
養護教諭における「性の多様性」の教育についての一考察
-三重県内養護教諭を対象とした質問紙調査から-
石川 拓次 (鈴鹿大学短期大学部)
3
性の多様性をこどもたちに伝える工夫-三重県の実践例にみる現時点の課題を考える-
川又 俊則 (鈴鹿大学短期大学部)
4
子どもたちの性・生に向き合うための支援活動
-児童養護施設職員の研修会での取り組み-
白子 純子 (帝京平成大学)
5
男性養護教諭に関する研究動向
中村 千景 (帝京短期大学)
第5会場(603教室)
1
日本教育保健学会の「実践研究」の蓄積とその課題(第一報) 学会講演集・研究年報・著作物にみる蓄積状況(中間報告)
藤田和也
(一橋大学名誉教授)
2
教育保健における実証研究とは何か-研究会・学会年報に着目して-
伊藤 常久 (東北生活文化大学短期大学部)
3
養護教諭の「養護」の源泉を辿る
中森 あゆみ (武庫川女子大学大学院)
4
未来の養護教諭に伝わる教育保健論
山本 万喜雄 (聖カタリナ大学)
5
唐津秀雄氏の「人間形成の生理」
山本 浩子 (阿久比町立英比小学校)
12:10~12:50 特別講座「現代社会をめぐる若者の性の動向~医療現場から見た考察」
司 会 北村 志津枝(元仙台市立学校養護教諭)
講 師 村口 喜代(村口きよ女性クリニック・院長)
13:00~15:30 課題別セッション
課題Ⅰ「教育保健学のカリキュラムデザイン-教職必修科目に位置づける健康・身体の教養とは」
コーディネータ 野井 真吾(日本体育大学)・七木田 文彦(埼玉大学)
報告者 七木田 文彦(埼玉大学)・鎌田 克信(石巻市立貞山小学校・教諭)
指定討論者 瀧澤 利行(茨城大学)・黒川 修行(宮城教育大学)
「教育保健」概念のとらえ方は、十分に市民権を得ているとは言い難い状況であろう。「教育保健」の概念は、「学校保健」とどのような点で異なるのか」、また「保健教育」とはどこが違うのか」など、いくつかの問いがあげられる。 2012年より継続的に議論してきた内容を、ここで一端まとめとしながら教育保健学のカリキュラムデザインを試案として提示したい。
課題Ⅱ「教育としての学校保健組織活動(保健の自治的・文化的活動)の検討」
コーディネータ 宍戸 洲美(帝京短期大学)・中村 千景(帝京短期大学)
報告者 小久貫 君代(前山形県立北村山高校・養護教諭)
黒澤 恵美(山形市立西山形小学校・養護教諭)
指定討論者 友定 保博(宇部フロンティア大学)
子どもの権利条約は日本も批准しているが、それを意識した学校保健活動はどの程度展開されているだろうか。この条約は、子どもの生存・発達・保護・参加を柱とする権利についてその実現を目標としている。中でも「生きる権利」「守られる権利」「育つ権利」「参加する権利」の4つの柱は重要であり、学校教育すべての活動の中でこうした権利が遵守されているか確認していく必要がある。今回は「児童生徒の自治的・文化的活動」をテーマにこの課題に迫りたい。
課題Ⅲ「養護教諭の仕事~“養護”をケアと教育の統合とする実践の検討」
コーディネータ 富山 芙美子(帝京短期大学)
報告者 川井 幸子(山形県川西町立小松小学校・養護教諭)
片山 好子(前岡山県井原市立木之子中学校・養護教諭)
指定討論者 布施谷 留美子(長野県中野市立豊田中学校・養護教諭)
教育保健学会では養護教諭実践は「ケアと教育」の綯い合わせであるととらえてその内実を探る理論と実践についての研究を続けてきた。「ケア」については多くの実践で実現するようになったが、「教育」の部分の実践がなかなか進まないという現状がある。「ケア」による受容と共感づくりだけでは養護教諭の実践は終わらない。「教育」の内実をどうつくりだしていくかが今、大きく求められている。
課題Ⅳ「思春期における性的自立をはぐくむ性教育実践の検討」
コーディネータ 岡崎 勝博(東海大学)
報告者 濵名 潤子(南相馬市立鹿島中学校・養護教諭)
篠原 美香(草加市立青柳中学校・養護教諭)
指定討論者 北村 志津枝(元仙台市立学校養護教諭)
篠原美香先生は、保健学習への関わりや総合的な学習の時間を使い、「いのちの大切さを考える授業」というテーマで3年間取り組んでいる。濵名潤子先生は、中学3年間の性指導計画により、心身の性的発達と男女交際について段階を追って指導を行い、子ども達の性的な発達に寄り添う指導が行われている。3年間を通して「自分の人生を考える」視点を持やせたいという願いを大切に実践している。北村志津枝先生は、元仙台市内の中学校で養護教諭の立場で性の実践に取り組んできた。今回は、思春期真っただ中の中学校の実践の事実を通して、性教育の在り方を議論したい。
15:30 閉会式