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理事長挨拶

学会開催にあたって

 

日本教育保健学会理事長

数見隆生(東北福祉大学)

 

  第9回大会に引き続き第14回大会も仙台で、それも東北福祉大学で再び開催させていただく運びとなりました。第9回大会はちょうど東日本大震災の1年後であり、大会企画の大部分は津波震災に絡む被災の事実や学校防災上の教訓に関する討議に費やすことになりました。参加者も200名を超え、小さな学会の大きな発信になりました。

あの大震災からまる6年が経過し、多くの方々から多大な支援や援助をいただいてまいりましたが、東北の地はまだまだ復興には至っていません。地域が崩壊し廃校になった学校、統廃合された学校、この6年間に3年間仮設校舎で過ごした小学生・中学生がいます。両親や親族を亡くし、深い悲しみに耐えてきた児童・生徒がいます。家を失い、地域や友達を失い、親が職業を失い、仮設校舎で何年も我慢してきた子どももいます。こうした中で、この子らを必死に保護し、支援し、悲しみを乗り越えさせるべく関わり、寄り添い、励まし続けてきた学校と教職員がいます。

今回の大会は、こうした背景の中で行う大会です。人間になるために日々変化し発達を遂げている子どもたちは、こういう背景の中で様々にもがき、支援を受けながら生きています。震災とは関係なくても子どもたちは今日的な社会環境の中で、主要には家庭や学校という居場所で生きています。残念ながら、この数年のうちに東北の各地でいじめによる自殺が次々と発生しました。こうした痛ましい悲しいことがなぜ発生するのか。人間の発達を促すべき学校でどうしてこうした問題が生じるのか、学校は何をこそすべきなのか、が問われています。

本学会は、心身のケアと発達支援を総合的に追究する学会であることがようやく見えてきました。今回も東北で開催する大会ということもあって、震災後の子どもの抱えている課題への支援やあり方が中心的な討議の柱になりますが、それらの検討を通して、今、日本中の生きづらさを抱える子どもにどんな支援が必要であり、学校や教師は今何をすべきなのかを皆で議論できればと思っています。

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